ここは都の管理下にある、ある市内にある森です。
林道があります。ここが私の散歩道。
人はこんな場所でいるはずのない白馬や白鹿などにあったらどんな感情をおもちになるのでしょう。
これはさすがに白馬ではありませんでしたが、それはそれは立派な、真っ白な鶏がいたのです。すぐ目の前、やや左に。というおはなし。
この時おそらく白馬に出あったに近い感動がうまれたのです。
なんと大きな立派な姿態でしょう。威風堂々、凛として立っているのです。
まれに大きなものをぶら下げて、おまえなんかに逃げてたまるか
と言わんばかりに、わざとのっそりと、耳だけは後ろを警戒し歩く、オスの野良猫なんか見かけますけど、この鶏も、人なぞすこしも恐れる様子がありません。
なぜここに?
たわむれに、「こんにちわ」などと言ってすれちがってみたいけど反応などある筈もな
それにしても少しも汚れのない、美しいものを見たものです。
3・4日してまた同じ場所でこのにわとりに出合うのです。
気のせいか幾分汚れているように思いました。
さらに4・5日して見れば、どうした!と思うほどボロボロになっているのです。
もはや最初にみた面影はない。破れたから傘のようになり、人の気配に隅に追い詰められたメダカのように左右にウロウロ。決してこちらをみないので落ち着きようもない
後ろ姿をみるばかりです。
なにに? 誰にやられた! 犬にでもやられたのか?
しかし、まれに犬を連れて散歩する方とすれ違うことはあっても、繋がれず歩く犬など
ここで見ることはない。猫でさえもだ。
さらにこのニワトリと出合うことになる。いや、らしき物に変じていた。
林道に羽が散らばっている。1箇所にだ。もう姿ではなかった。
羽だけが1か所にある。
こうした場合の記憶では、首とか足がその辺に散らばってある筈。
入念にしらべてみたが、羽以外のなにも無い。
あのニワトリを襲うけだものとはなんだ? こんな森にも何かが生息している!
この林ではないが、確かにタヌキやイタチを見かけることがある。
あるときなどは、人通りのある道の脇の藪にかぼちゃ大の穴があけられ、クルミなどがかき出されているのを見たことがある。覗くと奥に腐りかけたクルミがたんとある。
これなどは散歩中の犬に見つけられ、掘り出されたものと思える。
このあたりでクルミなど蓄える動物ってなんだ?
人でいえばひと財産を残して、消えてしまった動物ってなんだ?と思ったことがある。
謎
この広い山中で、いつも同じ場所にいたニワトリとはなんだ?
逃げようもあったろうに、羽だけになるまで同じ場所とはどうした訳だ?
そもそもどうして忽然とここにあらわれたのだ?
ここは東京都なのだ。