生まれてまもない最初の記憶
私にはこんな記憶があるのです。
生まれて間もなくの記憶です。
ぷかりぷかりと浮かんでます。湯桶で洗われています。誰の手かわかりません。
片手に頭を添えられ、時折もう一方の手で湯とともに布状のもので顔を流されます。
誰の手なのでしょう。顔は真上からやや右、頭を支える中指の方、つまり支える人の外側なので誰かは見えません。
壁か何かにきらきらと光りが揺らめいて映ります。顔が上を向くと光る一面の空間です。そこに管楽器のような美しい音が浮かんではコロコロと流れます。
同時にとらんぷのダイヤ状のカードを不規則に並べたようなものが音声と同時に浮かんではきえます。かたまりとなって三つ、四つ。
若い女性の何人かの声なのがわかります。
それが自分に向けられ呼びかけか称賛と理解してるのです。
光ばかりで人影はありません。
湯の温度は限りなく気分のよいものです。暖かいともぬるいとも感じず、これ以上の心地良さはありません。
天国とか至福とはこのことかと思います。
後から思うこと。
うつくしい音は声だと思います。まだ言葉を知らないので、音と聞いたのでしょう。
近所のおばさん達の声だったのではと思います。
光はまぶしいものとは感じなかった。光に満ちた美しい世界。
ダイヤ状の🔶のもの、これは例えると、葉のついた桜かなにかの枝。えだだけを消してみてください。葉だけが残りますね。そのまま葉を🔶に変えてみてください。
それがまるで吹き出しのように声に合わせてうかんでは消えるのです。
右、中、左に。色はうすく、白・黄・薄茶色
同じようにもう一つの記憶があります。
こちらは風呂場であったとはっきり記憶してます。
父です。父の声を覚えています。抱かれて、水が入らぬよう丁寧に両耳をふさがれ
湯浴みされたのです。耳をふさがれた様子と感触を覚えているのです。
何か語りかけられながらであったのを覚えております。 この至福。
幸福感てなに?
なんだか私は、あれなんだろうと知ってるようです。